週末には一日に5本しかないバスに30分くらい乗ったあとはバス停から何の変哲もない住宅街を進んでいくとたどり着く。茅葺屋根が時代を感じさせるものの、外観は単なる古民家だ。2020年に保存修理された建物は真新しい印象さえある。しかしながら平凡な外見とは裏腹に、この茅葺屋根の建物はキリスト教の教会だ。ロシア正教会の司祭・聖ニコライが日本で宣教を開始した1873年からわずか6年後に建立され、関東でも随一の長い歴史を誇る手賀ハリストス正教会なのだ。
普通の家屋と同じように玄関で靴を脱いで入ると、畳が敷かれた部屋がある。ちゃぶ台が置いてあって、その辺にある民家と何ら変わらない。普通ではないのに気がつくのはその先に視線を向けたときのこと。茅葺屋根とは似つかわしくないイコンが壁に掲げられていて、聖堂になっているのだ。これがこの茅葺屋根の建物が正教会の教会堂たるゆえんだ。明治期の女流作家として評価の高い山下りんが描いたキリストや聖母マリアの絵は、畳張りの聖堂に入ってきた者を静かに迎えてくれる。でも周囲の雰囲気とあまりにも異なっているので、まるで秘密基地のようなムードを感じてしまった。
2024年6月 建築 千葉 | |
カテドラル 教会 柏 |
No
12598
撮影年月
2023年10月
投稿日
2024年06月12日
撮影場所
柏 / 千葉
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF