コルカタを歩いていると、不意に視線を感じた。
ふと店先に目をやると、ランニングシャツ姿の男が腰掛け、じっとこちらを見つめていた。最初はのんびりと身体を預けていたが、僕がカメラを手にしているのを見るや、ゆっくりと上体を起こした。そしてそのまま、何も言わずに僕のレンズをまっすぐに見つめてきた。
その眼差しには、警戒とも好奇心ともつかぬ複雑な感情が混ざっていた。だが、怒っているわけでも、微笑んでいるわけでもない。まるで「お前は何者だ」と問いかけるような、静かなまなざしだった。
シャッターを切るべきか、少し迷った。でも、その視線の強さに抗えず、結局一枚だけ撮らせてもらった。彼は最後まで無言だったが、その沈黙がかえって、言葉以上に雄弁に感じられた。
2012年4月 インド 人びと | |
視線 コルカタ 男性 口髭 無精髭 タンクトップ |
No
6382
撮影年月
2011年6月
投稿日
2012年04月26日
更新日
2025年06月21日
撮影場所
コルカタ / インド
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM