赤土の道を歩いていると、ひときわ強い視線を感じた。振り向くと、赤い服を着た女の子が、裸の赤ん坊を抱いてこちらをじっと見ていた。女の子は少しも怯まず、むしろ何かを確かめるように、カメラを構える僕の目をまっすぐに見返してくる。
だが、その腕の中にいる赤ちゃんは違った。知らない人間の登場に戸惑いを隠せず、眉間に皺を寄せて僕を見つめている。表情には、幼さゆえの本能的な警戒心がにじんでいた。
シャッターを切ろうとした瞬間、ふたりの背後から、さらにいくつもの顔が現れた。まるでレンズの中に吸い込まれるかのように、子どもたちの瞳がこちらに集まってくる。真剣なまなざし、無邪気な好奇心、そしてその奥にある、言葉にできない何か。
マルダという土地は、観光地ではない。だが、だからこそ垣間見える日常の表情がある。舗装されていない道、竹と藁でできた家々、素足のまま駆け回る子どもたち。その中で彼らはたくましく、生き生きとそこにいた。
2012年4月 インド 人びと | |
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No
6383
撮影年月
2011年7月
投稿日
2012年04月27日
更新日
2025年06月21日
撮影場所
マルダ / インド
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
OLYMPUS PEN E-P2
レンズ
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42MM