たまたま訪れたメキシコのサアチーラの町では、ちょうど祭りの日に出くわした。教会前の広場には大勢の人が集まり、パレードが始まるのを今か今かと待ち構えている。何の祭りかについては旅人の私には分からないが、どうせ地元の守護聖人か、あるいは農作物の豊穣を祈る行事に違いない。細部は分からなくても、人々の顔には明らかな高揚感が漂っている。お祭りというものは理由を知らずとも、雰囲気に巻き込まれるものである。
その場には、着飾った女の子たちの姿もあった。羽根で飾られた冠のような帽子を被る者、ベルベット調の衣装を着込む者、あるいは両腕に金属製のブレスレットをはめている者もいる。三人並んで立っている姿は、王侯貴族の姫君を演じる劇の登場人物のようで、子どもの遊び心と祭礼の荘厳さが妙に同居している。考えてみれば、こうした装飾品は単なる仮装ではなく、スペイン植民地時代に持ち込まれたカトリック儀礼と先住民の伝統が混淆した結果なのだろう。メキシコの祭りには必ずと言ってよいほど、羽根飾りと金属光沢が伴う。まるで「派手さこそ正義」とでも言わんばかりだ。
2010年12月 メキシコ 人びと | |
衣装 お祭り 女の子 笑顔 三人組 サアチーラ |
No
4942
撮影年月
2010年7月
投稿日
2010年12月09日
更新日
2025年09月05日
撮影場所
サアチーラ / メキシコ
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM