パレードが始まる前には、必ず教会の中で伝統的なダンスが披露されるのが習わしらしい。ダンスを披露するのは男の子たちで、羽飾りが揺れる大きな帽子を頭にのせ、煌びやかな衣装を身にまとっている。帽子の羽根は派手さを競うためか、あるいは古代からの信仰的な意味があるのかもしれないが、見ているこちらは首の筋肉の負担を心配してしまう。祭りというのは、体力よりも伝統が優先される世界なのだろう。
やがてダンスが終わると、男の子たちはそのままの格好で外に出てきた。衣装を脱ぐ暇もなく、今度はパレードに参加するのだから忙しい。メキシコの祭礼はとにかく連続性が重んじられるようで、ひとつの行事が途切れることなく次へと接続されていく。大人たちは花を抱え、子どもたちは大きな帽子を揺らしながら進む。羽根のついた帽子を見ていると、まるで孔雀が町を練り歩いているかのようで、鳥類学の研究会でも開かれているのではと錯覚しそうになる。だが実際は、サアチーラという小さな町の日常に溶け込んだ非日常のひとコマにすぎないのだった。
2010年12月 メキシコ 人びと | |
男の子 民族衣装 お祭り サアチーラ |
No
4943
撮影年月
2010年7月
投稿日
2010年12月10日
更新日
2025年09月05日
撮影場所
サアチーラ / メキシコ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM