メキシコの町サアチーラを歩いていると、ひときわ目を引く大きな教会が町の中心に構えていた。中からは神父の説教らしい声が響き渡り、スピーカーを通したように延々と続いている。説教というものは万国共通で長いものらしく、信徒たちはじっと耐えて聞き入っているが、聞いている方が信仰心を試されているのではないかと思えるほどだ。
その教会の入口の階段に、小さな男の子が腰を下ろしていた。頬杖をつき、退屈そうに宙をにらんでいる。中では親や親族が真剣に礼拝に耳を傾けているのだろうが、男の子にとっては説教など砂時計の砂粒と同じで、ただ落ちていくのを待つだけのものにすぎない。礼拝が一刻も早く終わり、外に出て走り回れる時が来るのを心の底から願っているのだ。
2010年12月 メキシコ 人びと | |
退屈 男の子 教会 サアチーラ |
No
4938
撮影年月
2010年7月
投稿日
2010年12月08日
更新日
2025年09月05日
撮影場所
サアチーラ / メキシコ
ジャンル
スナップ写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM