サアチーラの祭りで出会った男の子は、民族衣装に身を包み、実に大きな派手な帽子を頭にのせていた。帽子には鳥の模様が描かれており、金属的な光沢の上に羽根飾りまでついている。何の鳥かと考えてみれば、メキシコの国鳥はカラカラと呼ばれるタカ科の鳥で、道端を歩いていてもあまり威厳を感じない不思議な存在だ。もしこの帽子の鳥がカラカラだとすれば、随分と大げさな姿に変貌を遂げている。鳥が本人よりも立派に見えては本末転倒で、これは祭り用の誇張表現というやつだろう。
もっとも、帽子は派手であるが重さも相当なものに違いない。小柄な男の子がその大きな装飾を支えている様子は、むしろ修行僧のようにも見えた。サアチーラのパレードに出る子どもたちは、こうした衣装を身につけ、踊り、行進するのだが、傍目から見れば遊戯よりも労働に近いように思える。祭りとは得てしてそんなもので、楽しい顔の裏に骨の折れる作業が潜んでいる。
2010年12月 メキシコ 人びと | |
男の子 民族衣装 サアチーラ |
No
4939
撮影年月
2010年7月
投稿日
2010年12月09日
更新日
2025年09月05日
撮影場所
サアチーラ / メキシコ
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM