ブリゴンガ川の岸辺で客を待つ、無数の木製手漕ぎボートと男たち

客待ちする渡し船の漕手
客待ちしていたボートの漕手

濁った川面に、今にも沈みそうな小舟がひしめいている。ここはバングラデシュの首都、ダッカの南部に位置するショドルガットという波止場だ。およそ21世紀の首都の風景とは思えないが、見渡す限り木製の粗末な手漕ぎボートが群れをなしている。そのおびただしい数のボートには、それぞれ漕ぎ手の男たちが所在なげに腰を下ろしていた。客が来るのをひたすら待っているのである。彼らの表情には微塵の愛想もなく、ただ退屈と気怠さだけがへばりついているように見える。

著者 : ユーフォリアファクトリー
euphoria factory
発売日 : 2023-03-15

その退屈そうな男たちが待ちわびる客はといえば、実は引きも切らずにやってくる。濁流の岸辺には、小舟に乗ろうとする群衆が次から次へと集まってくる。この付近のブリゴンガ川にはまともな橋が架かっていない。そのため、対岸へ向かう地元の人間にとって、この時代遅れの手漕ぎボートは立派な渡船としての役割を担っている。ダッカは世界有数の人口過密都市であり、川を渡るだけでも大変な騒ぎである。ボートの底に敷かれた竹のすのこのようなものの上に、人間が荷物のように無造作に詰め込まれていく。

そうして人間が荷物のようにぎゅうぎゅうに詰め込まれ、ようやく満員になると、小舟は泥水を掻き分けて対岸へ向けて出発する。一艘が出発しても、すぐさま別の空舟が滑り込んでくるため、水際の混雑は永遠に解消されない。漕ぎ手たちは大した稼ぎにもならないであろう運賃のために、ただ黙々とオールを漕ぎ、また元の岸に戻っては退屈そうにしゃがみ込む。その終わりなき反復作業を眺めていると、彼らの忍耐強さに感心するよりも先に、そもそも橋を一本架ければ全て解決するのではないかという、ひどく身も蓋もない疑問ばかりが頭をよぎる。しかし、橋が架かれば彼らは即座に失業してしまうのだから、他人の僕が口出しすることではない。

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ENGLISH
2010年2月 バングラデシュ 人びと
ボート ダッカ 河川 ボートのこぎ手 三人組

PHOTO DATA

No

3755

撮影年月

2009年9月

投稿日

2010年02月27日

更新日

2026年03月23日

撮影場所

ダッカ / バングラデシュ

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

CANON EOS 1V

レンズ

EF85MM F1.2L II USM

日本国外で撮影した写真

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