ナシークの町を流れるゴダバリ川。その川辺に、ラムクンドと呼ばれる沐浴場がある。ヒンドゥー教徒にとってここは特別な場所であり、遥か遠方からも巡礼者が集まってくる。
石段を下りた水際では、サリーを身にまとった女性たちが列をなし、静かに水面へと手を伸ばしていた。太陽に照らされた川面は銀のようにきらめき、その光をすくうようにして、彼女たちは聖なる水を両手に取り、額や頬にそっと触れていた。
彼女たちの所作には、祈りというよりも、もっと身体に近い、日常に根ざした敬虔さがあった。声をあげる者はいない。ただひたすらに、自らの内側に向かうように、水を繰り返し身に浴びていた。
僕はその光景を遠巻きに見守るだけだ。そこに踏み込むことはできない。ただ、こうしてシャッターを切ることで、この瞬間の静けさを少しだけ持ち帰ることができればと願った。
2015年6月 インド 人びと | |
水浴び ナシーク サリー 女性 |
No
9328
撮影年月
2010年9月
投稿日
2015年06月28日
更新日
2025年06月14日
撮影場所
ナシーク / インド
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM