ウブドの町を歩いていると小さなステージがあって、幼い女の子たちが大勢うごめいていた。集まってワイワイ遊んでいるのではなく、このステージの上でバリ舞踏の練習が行われているのだった。ひとりだけ大人の女性がいて、この人が先生のようだ。バリ舞踏の伝統はこのような地道な練習によって支えられているのだろう。
写真の女の子はそこでバリ舞踊の練習に参加していた女の子のひとりだ。ちょうど踊っている最中の女の子は姿勢を保ちながら上を見つめている。胸を張り、おしりを突き出して膝を曲げた姿勢はチャンケットと呼ばれるバリ舞踊の基本姿勢だ。この姿勢こそがバリ舞踊の「美しさ」であるとされている。ステージ上の女の子たちはみなこのチャンケットという姿勢を練習していた。
しかしながら「バリ舞踊における基本姿勢(チャンケット)の定着過程 」という論文によると、この姿勢は古くからバリ舞踊にあった姿勢ではなく、1930年代に西洋文化の影響を受けて発生したものだという。伝統的なものと聞くと、何百年も前から存在しているものばかりと思うけれど、思いの外新しいものも伝統的な顔をして紛れ込んでいる。伝統とは常に更新されていくものなのだろう。
2009年10月 インドネシア 人びと | |
ダンス 女の子 レッスン 練習 サロン ウブド |
No
3236
撮影年月
2009年6月
投稿日
2009年10月03日
更新日
2024年07月01日
撮影場所
バリ島 / インドネシア
ジャンル
スナップ写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM