背の高い木々が新宿御苑に立っていた。空へ向かってまっすぐに伸びている。冬だったので、枝々には葉の姿は見当たらない。でも堂々と聳えている木々には葉のことなど気に留めている様子はない。来る者は拒まず、去る者は追わず。おそらく器の大きな生き物なのだろう。暫くの間、僕はそんな木々を見上げていた。
新宿御苑はかつて信濃高遠藩内藤家の下屋敷だった場所だ。なんて広い屋敷だったのだろう。仕えていた侍の中には僕と同じように半分口を開けながら、背の高い樹木を見上げた侍もいたに違いない。
三河の松平氏(徳川氏)の家臣で江戸時代に大名となった内藤氏は上述の丹波・周防の内藤氏と同祖とされるが、この間、戦国期までの事蹟は明らかではなく、仮冒の可能性も強い。戦国時代から安土桃山時代にかけて、内藤清長・内藤正成・内藤家長・内藤信成らが徳川家康に仕え活躍し、その功績により江戸幕府の成立後は数家に分かれ、信濃高遠藩、陸奥湯長谷藩、三河挙母藩、日向延岡藩、信濃岩村田藩、越後村上藩などの地で譜代大名として隆盛した。明治維新時には大名内藤家は全部で6家あり、維新後すべて子爵に列した。特に清政の系統は、高遠藩江戸屋敷のあった内藤新宿(現在の新宿区内藤町)の地にその名を残している。
No
19
撮影年月
2005年1月
投稿日
2005年01月29日
撮影場所
新宿 / 東京
ジャンル
自然写真
カメラ
CANON EOS 1V