首にスカーフを巻いた男が口角を上げ不敵な笑みを浮かべた

不敵な笑みを浮かべた男
不敵な笑みを浮かべた男

帽子をかぶり、首にスカーフを巻いた男がこちらを見て歯を見せた。その笑顔は爽やかと言えば爽やかだが、どこか演技めいていて、不敵な笑みにも見えた。後ろに立っている青年が真面目そうな顔つきをしているせいか、余計に前の男の笑顔が悪巧みでもしているように浮かび上がる。もっとも、実際に悪事を働いているわけではない。ただ、バングラデシュの首都ダッカという大都会では、笑顔ひとつも生存戦略の一部なのかもしれないと、勝手に思い込んでしまう。

この街は1,000万人を超える人口を抱え、南アジアでも有数の混沌を誇る。道端ではリキシャの客引きが声を張り上げ、屋台では揚げ菓子の匂いが漂い、川沿いには古びた船が人々を押し込んで対岸へと運んでいく。そんな環境で毎日を過ごしているのだから、人の表情にどこかしら演技が加わっても不思議ではない。笑顔は心の余裕というより、むしろ生活に欠かせない武器なのだろう。ダッカの街角で出会ったこの男の顔を思い出すと、観光ガイドが薦める世界遺産よりもよほど印象に残る。もっとも、こちらが妙に構えているだけで、彼は単にカメラを向けられたから笑っただけなのかもしれないが。

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ENGLISH
2010年3月 バングラデシュ 人びと
ダッカ にこやかな笑顔 男性 スカーフ 無精髭

PHOTO DATA

No

3810

撮影年月

2009年9月

投稿日

2010年03月12日

更新日

2025年09月01日

撮影場所

ダッカ / バングラデシュ

ジャンル

ポートレイト写真

カメラ

CANON EOS 1V

レンズ

EF85MM F1.2L II USM

日本国外で撮影した写真

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