トゥストラ・グティエレスの町角には、あちらこちらにアイスクリームの屋台が並んでいた。南部メキシコの陽射しは容赦がなく、木陰に逃げ込んでも、空気そのものがぬるいスープのように肌にまとわりつく。そんな中、写真の男は、古びた三輪の屋台を道端に停め、無言で客を待っていた。屋台の側面には色褪せたペンキで「Ricos Helados(美味しいアイスクリーム)」と書かれている。どれほど美味しいかは知らないが、少なくとも「冷たい」ことだけは保証されていそうだった。
手元の容器には、ピンクや白、時折青っぽい色のアイスが並んでいる。暑さのせいか、どれもわずかに溶けかけていた。彼の商売道具は、太陽との戦いでもあるのだ。そこへ、書類を抱えた女性が通り過ぎた。日差しを避けるように顔を伏せ、アイスクリームなど眼中にない。おそらく役所か学校の事務員だろう。だが、その横顔には、働く人間の緊張と倦怠が同居していた。
| 2011年1月 町角 メキシコ | |
| 食べ物の屋台 アイスクリーム トゥストラ・グティエレス |
No
5088
撮影年月
2010年7月
投稿日
2011年01月21日
更新日
2025年11月23日
撮影場所
トゥストラ・グティエレス / メキシコ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM