アンコットの脇にはお札を手にした車掌が立っていた

アンコットの車掌
アンコットの車掌
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旅先でもGoogle Mapsを使えるようになってからというもの、知らない国の知らない町でローカル・バスに乗るハードルが僕の中では劇的に下がっている。バス停の場所も教えてくれるし、乗るべきバスも教えてくれる。もうどのバスに乗れば良いのか、どこで降りれば良いのかをそれほど悩む必要はないのだ。ここジャカルタでもGoogle Mapsは大活躍だった。

それでも、まだ乗りこなすのが難しいローカルな交通機関がある。乗り合いタクシーだ。これはGoogle Mapsに表示されない。調べる手がかりがないのだ。どこをどういうルートで走っているのかを知るのは難しいし、そもそも車体を目の当たりにしても行き先さえ書いていないことも多い。

ジャカルタでいうとアンコットという乗り合いタクシーがそうだった。市内を走り回っている乗り合いのバンで、インドネシアの地元民がおそらく最も利用する乗り物だ。特定の区間をひたすらぐるぐる走っていて、都合の良い所で乗り、都合の良い所で降りるという、一介の旅行者が乗るにはかなりハードルが高い仕様になっている。走っているのはよく目にするのだけれど、乗り込むには勇気が必要だ。

この時も目の前に一台のアンコットが停まっていた。客が集まるのを待っているようで、しばし停車していた。車両の脇には男が立っている。手にはお札が握られているのを見ると、この男はアンコットの車掌のような役割を担っている人のようだ。思うように客が集まらないのか、男は険しい顔をしていた。どこに向かうのかさえ分からないアンコットに乗り込む勇気を持ち合わせていなかった僕は、写真を撮り終えると乗り込むことなくスタスタとその場から歩き去ったのだった。

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ENGLISH
2020年10月 インドネシア 人びと
バス 車掌 ジャカルタ お金

PHOTO DATA

No

11703

撮影年月

2020年1月

投稿日

2020年10月19日

更新日

2023年08月30日

撮影場所

ジャカルタ / インドネシア

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

SONY ALPHA 7R II

レンズ

ZEISS BATIS 2/40 CF

日本国外で撮影した写真とエッセイ

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