谷保天満宮の社殿に進もうとする僕を神鶏は振り返って一瞥した

谷保天満宮の神鶏
谷保天満宮の神鶏
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昔から人間の近くにいたからか、は古今東西でシンボルになっている人気者だ。フランスでは鶏が国鳥になっているし、古代ギリシャでは雄鶏が知恵・芸術・工芸・戦略を司る女神アテナや軍神マルス、医学の守護神アスクレピオスのアトリビュートになっていた。また古代ヨーロッパでは夜明け告げて夜の悪霊を追い払うことから雄鶏が太陽を象徴する鳥とされていたのだという。身近にいて、大きな鳴き声を上げる鶏はシンボルとして採用するのに向いていたのだろう。

古代ヨーロッパの話はどこか日本の神話とも似ている。古事記によると、天照大神が機嫌を損ねて天の岩屋に隠れてしまい世の中が闇に包まれたときに、再び天照大神が外に出てくるよう行ったさまざまな儀式の中に、常世の長鳴鳥(鶏)を集めて鳴かせたというのがある。長鳴鳥だけの手柄ではないものの、鶏の鳴き声も世の中を再び明るくするのに一役買った結果、日本では鶏は神の使いともされる。

東京国立にある谷保天満宮に足を踏み入れると、出迎えてくれたのは神職でも巫女でもなく、鶏だった。ただの鶏ではない。神の使い、神鶏だ。立派な鶏冠をもった神鶏が境内を自由気ままに歩き回っていたのだ。伊勢神宮では今でも鶏が放し飼いされているという話を耳にしたことがあるけれど、ここ谷保天満宮も同じらしい。もっとも祀られているのは天照大神ではなくて、天満宮だけに菅原道真だけれど。

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ENGLISH
2021年11月 動物 東京
鶏・鶏肉 国立 神社

PHOTO DATA

No

12091

撮影年月

2021年7月

投稿日

2021年11月15日

更新日

2023年08月17日

撮影場所

国立 / 東京

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

SONY ALPHA 7R II

レンズ

ZEISS BATIS 2/40 CF

日本国内で撮影した写真とエッセイ

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