三人の女子高生がチャオプラヤー川を渡るフェリーに乗っていた

チャオプラヤー川の向こうからフェリーがやって来た。ここからフェリーに乗って川を渡り、トンブリー地区へと向かうのだ。乗客が乗り込むと、フェリーはすぐに桟橋を離れる。フェリーは空いていた。観光客はいないし、地元の人が数人乗っているだけだ。バンコクの観光名所である王宮エリアとワット・アルンを結ぶフェリーには大勢の観光客が乗っていたけれど、この路線は観光客にあまり人気が無いようだ。

フェリーはチャオプラヤー川を静かに渡っていく。ほとんどの乗客は静かに対岸に着くのを待っていた。そのような中でピーチクパーチクと盛んに喋っている人たちがいた。女子高生の集団だ。どこの世界でも女子高生はお喋りと相場が決まっている。川を渡る僅かな間も、話すのを止められないのだろう。何をそんなに楽しそうに話しているのかと女子高生たちの方へ視線を向ける。すると、ひとりの女子高生は友達の会話に加わることもなく、ひとり遠くを見つめていた。物思いに耽っているような表情をしていた。長い髪が風になびいていた。

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