苔生した隆泉苑の中にポツンと石灯籠が立っていた

佐野美術館の隆泉苑
佐野美術館の隆泉苑
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静岡県三島市に佐野美術館という美術館がある。日本刀や陶磁器、青銅器などの美術工芸品を収蔵している美術館だ。中でも日本刀のコレクションが有名で、この美術館は5振りの重要文化財と1振りの国宝を所蔵している。展示されていた日本刀を見学すると、他の美術館や神社仏閣の宝物殿と同じように刃がピカピカだ。何百年も前に作られた刀なのに、今でも紙切れを切り裂けそうだ。もちろん手入れをずっと続けているからなのだろうけれど、作った刀工も注文主もすでにこの世にいない中で、刀だけが作られたときのままの輝きを保っているように見える。

作られてから何百年も経っている美術品は多いけれど、そのほとんどは時間の経過とともに傷んでいて、修復を施しているものも多い。かつて真っ白だった白磁の器もちょっとくすんでいたり、絵画でも退色してしまっているのもある。そのような状況を考えると、美術館で目にする日本刀は500年前に作られたものも、800年前に作られたものもピカピカすぎて、これが永遠ということなのかと考えてしまう。美術館の横にある隆泉苑という庭園も美しかったけれど、何百年も輝き続けている刀剣と比べると、ひよっこに見えてしまった。

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ENGLISH
2024年1月 町角 静岡
庭園 三島 博物館・美術館 石灯籠

PHOTO DATA

No

12555

撮影年月

2023年6月

投稿日

2024年01月17日

撮影場所

三島 / 静岡

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

SONY ALPHA 7R V

レンズ

ZEISS BATIS 2/40 CF

日本国内で撮影した写真とエッセイ

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